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アレルギー対応旅行でアレルギーっ子を笑顔に~QOLトラベル

アレルギー対応旅行でアレルギーっ子を笑顔に~QOLトラベル

重篤なアレルギーがあるお子さんは、外食がままならず旅を諦めている家族も多くいます。また毎日の食事に気を遣うママの苦労は計り知れません。そんなお子さんや家族を笑顔にする『10品目完全除去のアレルギー対応旅行』を手掛けているのがQOLトラベル。代表の栩野浩さんは、ご自身もアレルギーっ子のパパであり、本業はマーケティングコンサルタント。アレルギー対応旅行への思いや実状、今後についてお話を伺いました

アレルギー対応を始めたきっかけは地域振興支援。久米島からスタート

アレルギー対応を始めたきっかけは地域振興支援。久米島からスタート

「企業へのマーケティングコンサルの傍ら、地域振興支援を10年ほど手掛けています。きっかけは沖縄県の久米島からの依頼でした。非日常のリゾート地、離島でありながら救急対応可能な病院があったことから、これをきっかけに観光施策ができないか?と相談があったんです(栩野氏)」。
意外にもアレルギーのお子さんがいるから、即アレルギー旅行となったのではなく「あくまで病院が充実しているという点から案を地元と検討していった結果、アレルギー対応旅行へ決まった」とのこと。

「もちろん進めていく際には、自分の経験は非常に役に立ちました。アレルギーを持つ親の苦労や思いは当事者なのでよくわかりますから。我が家も子どもが小さな頃は、宿と交渉し炊飯器を抱え、大変な思いをしました。それでも家族で旅行をするメリットはたくさんあると感じます(栩野氏)」

地元の事業者・人が関わりることが大切。子ども達の笑顔がモチベーションに

地元の事業者・人が関わりることが大切。子ども達の笑顔がモチベーションに

アレルギー対応旅行の実施には、地元の事業者や人が関わることが大切だと栩野氏。 「専門家や大企業を誘致すれば実施は簡単です。でも地域に根付いた魅力とするには、地元の事業者や人が中心で動かないと長続きしない(栩野氏)」。ただその道は容易いものではなく、最初は飲食店やホテルは「何か起こったら」と腰が引けていたといいます。そんな状況が好転したのは、モニターツアーの実施でした。
「家族みんなで同じものを食べられるというのは、アレルギーっ子や家族にとっては、本当に、夢のようなこと。子ども達の喜ぶ姿に受け入れ側のモチベーションは一気にあがりました」

広がる活動は、沖縄本島、南紀白浜でも。地元のキーパーソンが要に

広がる活動は、沖縄本島、南紀白浜でも。地元のキーパーソンが要に

現在久米島は、行政がアレルギー対応旅行の相談窓口を開設。栩野氏は、次のアレルギー旅行先として、沖縄本島、和歌山県の南紀白浜へと活動を広げられています。私も同行した沖縄本島ではアレルギーフリーのバイキングも実施。好きなものを自分でとり食べられると、子ども達は目を輝かせていました。

各地域ではアレルギーを持つお子さんのママがキーパーソンとなり、栩野さんも気づかない様々なサービスが生まれたそう。「やはりママとパパでは目線が違うんですよね。寝具のダニ対策などは思いもつかなかった。アレルギー旅行という突破口をあけた後は、キーパーソンが中心となり、地元発でサービスを作り上げました」と栩野氏。

新たな挑戦。アレルギーっ子の旅を支援するクラウドファンディングに成功

新たな挑戦。アレルギーっ子の旅を支援するクラウドファンディングに成功

「課題は価格です。どうしても特別対応になりツアーの価格は高くなる。アレルギーっ子のいるご家庭はエンゲル係数も高く、費用面で旅行に二の足を踏まれる方も多い(栩野氏)」そんなことから、2015年はクラウドファンディングでアレルギー旅行への協力を募る挑戦を実施。見事に達成をしました(1月中旬まで継続中)。

また、宿泊・飲食事業者へのアレルギー対応支援をする一般社団法人 アレルギー対応沖縄サポートデスクの立上げにも参加。新しい取り組みが始まっています。

目標はアレルギーっ子も日本全国へ安心して旅ができること

目標はアレルギーっ子も日本全国へ安心して旅ができること

精力的に活動を続けられる栩野氏の目標は、全国各地へアレルギーのお子さんやご家族がでかけられるようにすること。「大変なことも多いですが、ツアーで喜ぶ姿をみるとやってよかったと毎回気持ちを新たにします(栩野氏)」 またアレルギーっこのママ&パパには「アレルギーは一つの個性。旅や外食にもチャレンジして息抜きしながら気長につきあうことが大切です。ツアーではお母さん同士が日頃の思いを語りあいスッキリして帰られることも多く、ぜひ一歩を踏み出して欲しい」とエールを送ります。

私もアレルギー旅行に同行したのですが、子ども達は勿論、ママ&パパのリラックスした姿が忘れられません。「全国へアレルギーっ子が旅できる」環境の実現、ぜひ応援していきたいと思います。

・QOLトラベル http://qoltravel.net/
・一般社団法人 アレルギー対応沖縄サポートデスク  http://okialle.or.jp/univ/teachers/
・アレルギー対応旅行レポート(家族deたびいく)   http://tabi-iku.jp/report/id000447.html
・クラウドファンディング~食物アレルギーの子ども達に旅行を! https://readyfor.jp/projects/qoltravel

著者

旅行ジャーナリスト 村田和子
旅行ジャーナリスト 村田和子
1969年生まれ、1児の母。新聞・雑誌・テレビ等で、消費者目線で役立つ情報を提供し、旅行サイトや宿のアドバイザーとしても活躍。2011年、子連れで47都道府県を制覇した経験から、家族旅行を応援するサイト「家族deたびいく」の運営開始。2013年、子どもの成長と家族の絆を深める「村田和子式 親子の旅育メソッド」を発表。家族旅行のスペシャリスト。